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2002年11月25日 (プレスリリース)

ナノキャリア(株)とキリンビール(株)が抗体結合型DDS製剤の共同研究契約を締結

ナノキャリア株式会社(本社:千葉県柏市、代表取締役社長:中冨一郎)とキリンビール株式会社(本社:東京都中央区、社長:荒蒔康一郎)は、ナノキャリアが保有するミセル化ナノ微粒子によるDrug Delivery System(DDS)製剤技術とキリンビールが保有するヒト抗体作製技術を融合し、独創的な抗体結合型ミセル化ナノ微粒子による新規制がん剤を開発するための共同研究契約を締結しました。この契約では、ナノキャリアが制がん剤を封入した数十ナノメーターサイズのミセル化微粒子を作製し、その微粒子の表面にキリンビールが作製したがん組織を認識するヒト抗体を化学的に結合することにより、がん組織への高い選択性を有する新規のDDS製剤を開発することを目指します。両社が保有する世界最高レベルの技術を融合することによって、最先端の医薬品の開発が可能となると期待されます。本製剤が医薬品として開発されれば、従来のがん治療における薬物療法に新しい、次世代の治療法が導入されることになります。

ナノキャリアは、ナノメーターサイズのミセル化ナノ微粒子を医薬品、遺伝子治療、診断薬などに応用することを目的に設立された研究開発型ベンチャー企業で、その開発の中心は注射用の徐放性製剤です。その技術原理は東京大学 片岡一則教授、東京女子医科大学 横山昌幸助教授及び岡野光夫教授、東京理科大学 長崎幸夫助教授らによって成されたもので、同社はそれら開発技術・材料を利用して新しい医薬品製剤の開発・製造を基盤に社会に貢献する事を目指しています。ナノキャリアではミセル化ナノ微粒子技術の医薬品、遺伝子治療並びに診断薬等への応用開発を進めており、グラクソスミスクライン(株)、日本化薬(株)等との一連の研究開発及びライセンス契約に続く、本共同研究契約の締結によって、ナノキャリアの研究開発は更に弾みがつくものと期待されています。

キリンビールは、腎臓、がん(血液分野を含む)、免疫・アレルギーを重点領域として研究開発から製造販売までの一貫体制で医薬事業を展開しています。ヒト抗体に関しては、独自の技術によりヒト抗体遺伝子を導入したヒト抗体産生マウスの開発に成功し、ヒト抗体医薬の研究開発を進めています。また、米国ヘマテック社と提携してヒト抗体産生ウシの開発を実施するなど最先端の取り組みを行っています。