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2005年4月21日 (プレスリリース)

新規プラチナ抗がん剤の共同研究契約を締結

2005年3月31日、ナノキャリア株式会社(本社:千葉県柏市、代表取締役社長:中冨一郎)とデビオファーム社(本社:スイス ローザンヌ、代表取締役社長:ローランド・イブ・モーベルネー)は、ナノキャリアが保有するミセル化ナノ粒子によるDrug Delivery System(DDS)製剤技術を応用した新規プラチナ化合物製剤の共同研究契約を締結しました。

この契約では、ナノキャリアが所有するMediCelleTM 技術によりダハプラチンを製剤化し、デビオファームが開発することで、既存のプラチナ製剤よりもがん組織へより効果的に浸透し、併せて毒性を軽減させた最先端の抗がん剤の開発が見込めます。

本共同研究ではデビオファームはナノキャリアから、ダハプラチンをペグポリグルタミン酸でミセル製剤化するDACH Platin MediCelleTM をライセンスインするためのオプション権を有することになります。動物予備実験ではMediCelleTM の技術を応用すると、がん組織へのEPR効果*や薬効・安全性の改善効果が見られています。

本共同研究の費用はデビオファームが出資し、ナノキャリアはデビオファームより、開発ステージに応じたマイルストーンの支払いと、製品が上市された場合にはロイヤルティーの支払いを受けることになります。

ナノキャリアの代表取締役社長中冨一郎は、「Eloxatin ® (オキザリプラチン)という優れた製品を開発したデビオファームとの本共同研究は、当社にとって非常に有益であります。オキザリプラチンはブロックバスターとして成功を収めている抗がん剤ですが、当社のMediCelleTM 技術が新たな抗がん剤の開発に寄与し、更に、がん患者の治療に大いに貢献できる良い機会であると確信しております。」と述べています。

また、デビオファームの代表取締役社長ローランド・イブ・モーベルネーは次のように語っています。「デビオファーム社の抗がん剤開発技術(特にプラチナ化合物)とナノキャリアの先進的なMediCelleTM およびミセル製造技術を統合することにより、がん患者に対し、より疾患特異的に有効で安全な医薬品を提供できる可能性が大きく高まることを期待しています。」

ナノキャリアについて

ナノキャリアは、ナノメートルサイズのミセル化ナノ粒子を医薬品、遺伝子、診断薬などに応用することを目的に設立された研究開発型ベンチャー企業で、その中心は注射用の徐放性製剤を研究・開発することであります。その技術原理は東京大学、東京女子医科大学、東京理科大学の研究者たちによって成されたもので、ナノキャリアはそれら開発技術・材料を利用して新しい医薬品製剤の開発・製造を基盤とすることによって社会に貢献することを目指しています。ナノキャリアではミセル化ナノ粒子技術による医薬品、遺伝子治療並びに診断薬等への応用開発を進めており、日本化薬(株)、キリンビール、CTT等との一連の研究開発およびライセンス契約に続く本共同研究契約の締結によって、ナノキャリアの研究開発は更に弾みがつくものと期待しています。ダハプラチン製剤技術は元々東京大学(片岡教授)から得た技術です。
ナノキャリアに関する会社概要やその他の情報はhttp://www.nanocarrier.co.jpをご覧下さい。

デビオファームについて

デビオファームは、デビオファーム社、デビオイノベーション社、デビオRP社、デビオクリニック社の4社からなるグループ企業で、その事業の主体は新薬となりうる化合物の動物実験を含む評価、グローバルな新薬登録のための開発、有力製薬会社への販売ライセンスの供与などです。同社は薬品開発においてEloxatin ® (導出先:サノフィ・アベンティス社)Decapeptyl ® (導出先:イプセン社)、およびTrelstar ® と(導出先:ファイザー)いう3つの製品においてその実績が証明されており、これら3製品の全世界での2004年度の合計売上は優に18億ドルを超えています。
デビオファーム社についての詳細はhttp://www.debio.comをご覧ください。