ナノキャリア(株)とCTTは新規ターゲティング抗癌剤の共同研究契約を締結
ナノキャリア株式会社(ナノキャリア社、本社:千葉県柏市、代表取締役社長 中冨一郎)とCTT Cancer Targeting Technologies Oy Ltd.(CTT社、フィンランド、ヘルシンキ 代表取締役社長 オウラ ペナテ メディナ)は、新規の抗癌剤の研究・開発に向けて共同研究契約を締結した。
契約の内容は、ナノキャリアが所有するミセル化ナノ微粒子の徐放性製剤にCTT社が所有する腫瘍特異性のあるペプタイドを結合させ、選択的に腫瘍部位へ抗癌剤を運搬させるいわゆるアクティブターゲティング療法を目指した従来にない全く新しいタイプの抗癌剤を開発する事を目的にしているものである。両者がそれぞれ所有する最先端の技術を融合させることによって画期的な新薬を開発することを目標としている。
ナノキャリア社は将来的には、本製剤の独占的製造権を有する以外は、両社は再実施権の許諾、販売テリトリー等については対等の権利を有しており、今後協力して研究・開発を進めるものとし、遅くとも今後四年以内には前臨床、臨床試験をスタートさせる計画である。
ナノキャリア社の技術は、ナノメーターサイズのミセル化ナノ微粒子を医薬品、遺伝子ならびに診断薬などに応用され、その構造はブロックコポリマーである親水性のポリマー(外殻)と疎水性のポリマー(内核)の二層構造からなるミセル化ナノ微粒子製剤である。
同社は、グラクソスミスクラインビーチャム、キリンビール(株)等との一連の共同研究・開発契約の締結に続き今回の契約締結で更に一歩進んだ製剤の開発を目指す事になった。これらのことから、代表取締役社長の中冨一郎は、「当社が所有する技術が広く評価され、当社が目指す癌ターゲット・デリバリー・システムが益々拡大されることになり、今後の発展のためにも大きな礎を築く事になると確信している」と述べている。
CTT社の最高経営責任者、オウラ ペナテ メディナは、「日本とフィンランドのハイテクノロジーの会社が共に全世界の市場に向けて、新しい競争力のある技術開発をするために協力することは、今後の方向性を示唆する良い例となるだろう」と述べている。
又、CTT社の取締役会長である、イルッカ コウホネンは、「ナノ微粒子と腫瘍指向性ペプタイドのドッキングによるターゲティングを目指したDDS製剤の研究開発が大きなトピックとなることに強い期待を抱いている」と述べている。
CTT社は、2001年4月にフィンランドのヘルシンキに設立された名称のとおり癌をターゲッテイングしたベンチャー企業であり、ヨーロッパ、フィンランドで優秀ベンチャー企業としてその技術は高く評価されている。その技術は、ファージディスプレイ法により腫瘍に選択性のある各種ペプタイドを選択・合成し、腫瘍特異性の高い医薬品として開発する事にある。既に数種類の腫瘍特異性のあるペプタイドを発見し、腫瘍部位での血管新生に置ける酵素阻害をするペプタイドなどを所有し、ある種の腫瘍に有効であることが確認されている。
ナノキャリアは、ナノメートルサイズのミセル化ナノ粒子を医薬品、遺伝子、診断薬などに応用することを目的に設立された研究開発型ベンチャー企業で、その中心は注射用の徐放性製剤である。その技術原理は東京大学、東京女子医科大学、東京理科大学の研究者たちによって成されたもので、同社はそれら開発技術・材料を利用して新しい医薬品製剤の開発・製造を基盤に社会に貢献を目指す。
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契約後、和やかな雰囲気で握手を交わす両代表 |